データ保護センター/Google Workspace/Google Vaultの基礎知識

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この記事では

  • Google Vaultとは
  • 保持ルールとホールド(記録保持)の違い
  • eDiscoveryホールドが適用されている場合や保持ルールが適用されているデータは、変更または削除されることはあるのか?
  • Google Vaultはバックアップソリューションなのか

Google Vaultの基礎知識

7 Dec 2021
読了時間:約11分
eDiscovery(電子情報開示)は、訴訟において証拠として使用できるデータを特定し、保存するために企業が利用します。データ保持は、組織が誤ってデータを削除することによるデータ損失を防ぐために使用されます。本記事では、eDiscoveryとデータ保持を実施するためのGoogle Vaultの主な機能と性能を解説します。

Google Vaultとは

Google Vaultは、Google Workspace用のアーカイブおよびeDiscoveryソリューションです。Google Vaultは、Google Workspace内のデータを保持、検索、エクスポートするため、またデータにホールド(記録保持)を適用するために使用できます。
Google Vaultは主に次の2つの機能を実行するのに役立ちます。
  • データガバナンス – これは、組織による情報を管理し活用するために講じるすべての措置を指します。これには、プロセス、ポリシー、標準、およびメトリクスが含まれます。

  • eDiscovery – これは、訴訟などの法的手続き中に電子的に保存された情報(ESI)を発見することを指します。

Google Vaultへのアクセス方法について

Google Vaultは、Google Workspace Business Plus、Enterprise Standard、Enterprise、Enterprise Essentials(ドメイン認証済みのみ)、すべてのEducationプラン、G Suite Businessで利用可能です。
FrontlineおよびG Suite Basicプランでは、Google Vaultを組織内の全ユーザーまたは特定のユーザー向けにアドオンとして購入することができます。

Vault権限とは

ユーザーは、Vault権限が付与されているか、または特権管理者である場合にGoogle Vaultにアクセスできます。Vault権限により、ユーザーは以下のことが可能になります。
  • 案件の管理

  • ホールドの管理

  • 検索の管理

  • エクスポートの管理

  • 監査の管理

  • 保持ポリシーの管理

  • 保持ポリシーの表示

  • すべての案件を表示

特権管理者がユーザーに権限を付与するためには、管理者ロールを作成する必要があります。その管理者ロールには、上記の権限のうち1つ以上を含める必要があります。Google Vaultの権限が割り当てられたユーザーのみがGoogle Vaultにアクセスすることができます。

Google VaultにおけるeDiscoveryとは?

Google Vaultでは、Google Workspace内のデータを検索、保持、エクスポートすることができます。Google Vault内には「案件」と呼ばれるワークスペースを作成し、これらのアクションの一つまたは複数を実行することが可能です。案件には以下のものが含まれます。
  • 保存された検索クエリのリスト

  • ホールド(記録保持)のリスト

  • 案件で共有しているアカウントのリスト

  • エクスポートのリスト

  • 案件のVaultユーザーアクティビティの監査ログ

案件は、他のVaultユーザーと共有することができます。

Google Vaultで案件を作成する方法

Google Vaultで案件を作成するためには、以下の手順に沿ってください。
  • ステップ1:Google Vaultアプリにアクセスするには、ワッフルアイコンからアクセスするか、https://vault.google.com/ へアクセスします。

Google Vault- Googleホームページ
  • ステップ2:「案件」をクリックします。

Google Vaultの問題
  • ステップ3:新しい案件を作成するには、「作成」をクリックします。

グーグルボールトの作成
  • ステップ4:「案件名」と「説明」を入力し、「作成」をクリックします。

Google Vaultの作成

Google Vaultで検索する方法

Google Vaultで案件に関する検索を行う方法は以下の手順に沿ってください。
  • ステップ1:検索を実行する「案件」をクリックします。

  • ステップ2:「検索」タブでGmail、ドライブ、グループ、チャットの中から検索を実行するサービスを選択します。

グーグルボールト検索
  • ステップ3: 以下の項目を選択します。

    • 検索範囲
    • タイムゾーン
    • 送信日時
    • 検索用の追加条件
    その後、「検索」をクリックします。

グーグルボールト検索
Google Vaultでは、特定のアプリケーションのデータに「ホールド」を適用することができます。ホールドがデータに適用されると、そのデータは無期限に、またはホールドが解除・削除されるまで、Googleのシステムから完全に削除されることはありません。
ホールドは、調査中に証拠が失われないようにデータの保全を可能にします。

コンテンツをeDiscoveryホールドに登録する方法

ホールド(記録保持)を作成するには、以下の手順に沿ってください。
  • ステップ1:「案件」の下にある新しい「記録保持」をクリックします。ホールド名とサービスを選択します。

グーグルボールト保留
  • ステップ2:記録保持の「適用範囲」を選択します。

    • ユーザーアカウント
    • 組織部門  Googleの組織部門についての詳細はこちら

グーグルボールト作成保留
  • ステップ3:記録保持の条件を設定します。

    • 開始日
    • 終了日
    • 検索キーワード

クリエーションを保持
  • ステップ4:「作成」をクリックしてホールドを作成します。

eDiscoveryホールドの削除方法

ホールドを削除するには、以下の手順に沿ってください。
  • ステップ1:「案件」に対して「ホールド」タブを選択します。

  • ステップ2:特定のホールドに対して「削除」をクリックします。

Google Vaultの保持とは

Google Vaultでは、Gmail、Googleドライブ、グループ、Google Chat、Google Meet、Googleサイトに保存されているデータに対して、保持ルールを適用することができます。ルールを適用する際には、特定の保持期間を設定するか、またはデータを無期限に保持することを選択できます。

保持ルールには、デフォルトのルールとカスタムルールの2種類があります。詳細については、こちらをご覧ください。

カスタム保持ルールの作成方法

カスタム保持ルールを作成するには、以下の手順に沿ってください。
  • ステップ1:「保持」-「カスタムルール」をクリックします。

Google Vaultカスタムルール
  • ステップ2:保持ルールを適用する「サービス」を以下から選択します。

    • Gmail
    • ドライブ
    • グループ
    • Chat
    • Meet
    • サイト

カスタム保持ルール
  • ステップ3:保持ルールの「適用範囲」を選択します。

カスタム保持ルール
  • ステップ4:保持ルールの「保持期間」と「アクション」を選択し、「作成」をクリックしてルールを適用します。

カスタム保持ルールの作成

デフォルト/カスタム保持ルールの削除方法

  • ステップ1:デフォルトの保持ルールを選択し、「削除」をクリックします。

デフォルト保持ルールの削除
  • ステップ2:カスタム保持ルールのタブを選択し、「削除」をクリックします。

カスタムルールの削除

保持ルールとホールド(記録保持)の違い

保持ルールとホールドは、以下の点で違いがあります。
保持ルールホールド(記録保持)

用途

保持ルールはデータを保持するために作成され、訴訟に対応するものではありません。

目的

保持ルールはデータを保持する期間を定めます。

対象サービス

保持ルールは、GmailやGoogleドライブなどさまざまなアプリのデータを特定の期間または無期限に保持するために適用できます。

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eDiscoveryホールドが適用されている場合や保持ルールが適用されているデータは、変更または削除されることはあるのか?

eDiscoveryホールドが適用されたデータは、Googleシステムから削除または完全に消去されることはありません。ただし、特定のケースでは、データを削除または完全に消去することが可能です。
  • Google Vaultユーザーによってホールドが削除された場合

  • データ管理者ががホールドから削除された場合

  • ユーザーのGoogleアカウントが削除された場合

  • ユーザーがVaultライセンスを持たなくなった場合

保持ルールの有効期限が切れ、データを削除する必要がある場合でも、データはGoogleシステムから完全に削除される前の30日間はGoogle Vaultで利用可能です。

Google Vaultはバックアップソリューションなのか

Google Vaultはバックアップツールではなく、Google Workspaceユーザー向けのeDiscoveryおよびアーカイブツールです。データをホールド状態にしたり、保持ポリシーを適用する機能があるため、多くの企業がデータバックアップソリューションと勘違いされがちです。
Google Vaultをバックアップソリューションとして使用した場合には多くのデメリットがあります。
  • エクスポートエラー/部分的なエクスポート - 大量のデータをエクスポートする場合、部分的なエクスポートが発生し、データの損失を引き起こすことがあります。

  • 対象外のサービス - Googleカレンダー、Google Keep、Google Meet、Google Classroomなどのアプリにはホールドをかけることができません。また、Googleカレンダー、Google Keep、Google Classroomなどのアプリには保持ルールを設定できません。

  • エクスポート制限 - Google Vaultによるエクスポート制限は10GBで、これを超えるデータは同じzipファイルでエクスポートすることができません。複数のzipファイルが作成されることになり、混乱を招くことがあります。

  • エクスポート形式 - Gmailのエクスポートを行う際、ユーザーはPSTまたはMBOX形式から選択することができますが、一部の訴訟用アプリケーションでは、これらの形式をサポートしていないものがあります。

  • データの復旧 - Google Vaultは保持ルールやホールドの設定を適用しますが、データの復旧機能は搭載されていません。

  • ライセンスコストの最適化 - Google VaultはBusiness StarterおよびBusiness Standardでは利用できません。Business PlusとEnterpriseではGoogle Vaultが提供されていますが、このエディションでは、より高いライセンスコストがかかります。また、追加ライセンスを選択した場合、追加費用が発生します。

上記のことから、データのバックアップを容易に行うためには、サードパーティ製のバックアップソリューションを選択することが有効です。SysCloudは、すべてのバックアップニーズに対するワンストップソリューションを提供しています。詳細はこちらをご覧ください。

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Did you know that Google Vault is not essentially a backup and restore solution?
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  • Google Vaultはバックアップソリューションなのか

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