データ保護センター/Google Workspace/企業向けGoogleドライブ保持ポリシーのガイド

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この記事では

  • 持とは
  • Google Workspaceのデフォルトのドライブデータ保持
  • Google Vaultの保持ルールを使用してGoogleドライブのファイルを保護する方法
  • Googleドライブのファイルを保護するためにeDiscoveryを使用する方法
  • Google Vaultの保持とeDiscoveryホールドは理想的なデータバックアップソリューションなのか

企業向けGoogleドライブ保持ポリシーのガイド

6 Dec 2021
読了時間:約12分

10億人以上のユーザーを抱えるGoogleドライブは、世界中の組織が利用する最も人気のあるファイルストレージおよびコラボレーションサービスの一つとなっています。

Googleドライブは、Google WorkspaceアカウントでGoogleドキュメント、スプレッドシート、スライド、フォーム、サイト、Jamboard、マップ、ドローイングを作成する際のデフォルトのストレージスペースとして機能します。

1. 保持とは

データ保持ポリシーは、データがどの程度の期間保持されるか、また組織で不要になったデータがいつ削除されるかを決定します。
Googleの地理的冗長性は、ユーザーのデータがアクティブなGoogle Workspaceライセンスを持っている限り、または保持ポリシーが適用されている場合には、データが安全に保持されることを保証します。

2. Google Workspaceのデフォルトのドライブデータ保持

Googleは、アプリからデータが削除された後すぐにそのデータをサーバーから完全に削除するわけではありません。Googleドライブ内のデータには、Googleによって設定されたデフォルトの保持期間があります。
保持期間は、ファイルの削除タイプによって異なります。ユーザーがファイルをソフト削除した場合、そのファイルは30日間、またはユーザーがフォルダから削除するまでごみ箱フォルダに残ります。30日間が経過すると、ごみ箱フォルダ内のファイルは自動的に完全に削除され、ユーザーが復旧することはできなくなります。

ごみ箱から削除されたGoogleドライブのファイルを復旧するためのステップバイステップガイドはこちらをご覧ください。

しかし、まだデータが完全に削除されたわけではありません。ごみ箱から削除されたファイルは、さらに25日間保持され、Google Workspaceの管理者は管理コンソールからそれらを復旧することができます。
25日間の期間が経過すると、ファイルはGoogleから完全に削除されます。

注意:デフォルトの保持は、ユーザードライブと共有ドライブのファイルに適用されます。

Google Workspaceの管理者が管理コンソールから完全に削除されたファイルを復旧する方法については、こちらをご覧ください。

2.2. Google WorkspaceのGoogleドライブにおけるデフォルトデータ保持の制限事項

  • デフォルトの保持を使用して保持されたデータは、Google Workspaceのストレージ容量としてカウントされ、上限を超えた場合は追加のストレージを購入する必要があります。Google Workspaceは、Gmail、Googleドライブ、Googleフォト間で共有される15GBのストレージを各ユーザーに提供しています。

  • デフォルトの保持期間が30~55日間経過すると、データは自動的に完全に削除されます。

3. Googleドライブのファイルを保護するためのネイティブデータ保持設定

Google Workspaceの上位ライセンスでは、Google Vaultを使用したネイティブデータ保持の追加機能を搭載しています。管理者はGoogle Vaultを使用して、ユーザーによって削除された後も、重要なビジネスデータを長期間保持することができるようになります。

Google Vaultでは以下のことが可能です。
  • 組織データを無期限または特定の期間保持する

  • 特定の時間が経過した後に組織データを自動的に削除する

  • eDiscovery(電子情報開示)のために組織データをホールド、検索、エクスポートする

Google Vaultの詳細、保持ルール、ホールド、ライセンス要件については、「Google Vaultの基礎知識」をご覧ください。

3.1. Google Vaultを使用して保持できるGoogleドライブのデータについて

Google Vaultは、Googleドライブ内のほとんどのファイルタイプを保持、ホールド、検索、エクスポートすることができます。以下は、Vaultが保持できるアイテムとGoogleドライブ内の例外のリストです。
保持対象のアイテム保持対象外のアイテム
Googleドキュメント
リンクされたファイル
スプレッドシート
外部ユーザーから共有されたファイル
Googleスライド

Googleフォーム

新しいGoogleサイト
Googleドローイング
Google Meetの録画と関連するチャット
Q&Aと投票のログ
ユーザーのドライブ内のJamboardファイル
ドライブにアップロードされたGoogle以外のファイル
共有ドライブ内のファイル
リンクされたファイルや外部ユーザーが作成し、組織内のユーザーと共有されたアイテムは、Google Vaultの保持対象外です。

リンクされたファイルとは?

一部のドキュメントには、ドライブ内の別のドキュメントやファイルにつながるリンクが含まれている場合があります。リンクされたドキュメントが設定した保持対象である場合、Google Vaultはそれらを保持し、検索クエリの結果にドキュメントが表示されます。しかし、それ以外の場合、Vaultはリンクされたファイルを保持しません。

3.2. Google Vaultの保持ルールを使用してGoogleドライブのファイルを保護する方法

Google Workspaceの管理者は、Googleドライブのファイルに対して2種類の保持ルールを設定することができます:
デフォルト保持ルール
カスタム保持ルール

3.2.1. デフォルト保持ルール

デフォルト保持ルールは、特定のサービスのデータを特定の期間保持する必要がある場合に適用され、Google Workspaceアカウント全体のすべてのライセンスに適用されます。特定のサービスに対して適用できるデフォルト保持ルールは1つのみ適用され、このルールを特定のアカウントや様々な期間には適用することはできません。
その為、特定のGoogle Workspaceアカウントには、Googleドライブに対する1つのデフォルト保持ルールのみが適用され、そのルールはアカウント内のすべてのライセンスに適用されます。

注意:組織は、カスタムルールやホールドが既に設定されていない場合にのみ、デフォルトルールを適用することができます。

Googleドライブのデフォルト保持ルールを作成する

  • ステップ1Google Vaultにログインします。

  • ステップ2:「保持」をクリックします。

  • ステップ3:「ドライブ」を選択します。

  • ステップ4:ファイルの保持期間を選択します。

    • 保持期間を選択します。
    • 保持期間の日数を入力します。
    • 保持期間の開始日を選択します。

  • ステップ 5:保持期間を設定した場合、保持期間が経過した後にファイルへの処理方法を選択します。

デフォルトの保持ルール
  • ステップ6:「作成」をクリックします。保持期間を設定している場合、ルールの影響を理解していることを確認するよう求められます。チェックボックスをオンにして「同意」をクリックし、ルールを作成します。

注意:保持期間を設定すると、Vaultは保持ルールを作成する際に、保持期間を超えたファイルを直ちに削除します。保持ルールが適切に設定されていないと、削除されるべきでないデータが削除されてしまう可能性があります。

3.2.2. カスタム保持ルール

組織内の特定のデータに異なる保持ルールや期間を適用する必要がある場合にカスタム保持ルールを作成します。
Googleドライブについては、組織単位ごとにカスタム保持ルールを設定し、作成日、最終変更日、削除日によって有効期限を定義することができます。
作成できるカスタム保持ルールの数に制限はありません。Googleドライブについては、ごみ箱にあるドライブアイテムが複数の保持ルールの対象となっている場合、移動済みごみ箱ルールが他のすべての保持ルールに優先します。

注意:カスタム保持ルールは常にデフォルトの保持ルールよりも優先されます。

Googleドライブのカスタム保持ルールを作成する

  • ステップ1Google Vaultにログインします。

  • ステップ2:「保持」-「カスタムルール」-「作成」に移動します。

新しい保持ルールの作成
  • ステップ3:サービスで「ドライブ」を選択し、「次へ」をクリックします。

  • ステップ4:ルール適用範囲を選択します。

    特定の組織部門に適用する場合:
    • 選択した組織部門のユーザーがそのドライブの直接のメンバーであるかそのアイテムに直接アクセス出来る場合は、「共有ドライブのアイテムを含める」をオンにします。
    • すべての共有ドライブに適用するには、「すべての共有ドライブ」を選択します。
    特定のアカウントがメンバーである共有ドライブに適用する場合:
    • アカウント名を入力し、「検索」をクリックします。
    • ルールを適用したい共有ドライブを選択します。
    • 「追加」をクリックします。

エンティティの選択
  • ステップ5:「続行」をクリックします。

  • ステップ6:保持期間を選択します。

    「期限無し」を選択してファイルを永続的に保持する。
    特定の時間が経過した後にファイルを自動的に削除する場合
    • 保持期間を選択する。
    • 日数を入力する。
    • 保持期間の開始日を選択する。

  • ステップ 7:保持期間を設定した場合は、保持期間経過後のファイルの処理を選択します。

保存期間の設定
  • ステップ8:「作成」をクリックします。保持期間を設定している場合、ルールの影響を理解していることを確認するよう求められます。チェックボックスをオンにして「同意」をクリックし、ルールを作成します。

注意:保持期間を設定すると、Vaultは保持ルールを作成する際に、保持期間を超えたファイルを直ちに削除します。保持ルールが適切に設定されていないと、削除されるべきでないデータが削除されてしまう可能性があります。

3.3 保持ルール対象のGoogleドライブのデータが削除された場合はどうなるのか

保持ルールがGoogleドライブのファイルに適用されると、そのファイルを完全に削除することはできません。ユーザーが保持ルール対象のファイルを削除した場合、そのファイルはユーザーのアカウントからは削除されますが、特権管理者側ではGoogle Vaultを使用して利用可能です。
Vaultの保持期間経過後に削除されるファイルは、ドライブから削除されるまでに約15日かかる場合があります。
保持期間経過後にごみ箱から削除されたドライブのファイルやサイトは、Vaultでは直ちに利用できなくなります。
Google Vaultのカスタムドライブ保持ルールは、アップロード/最終変更日が固有のファイル、または固有のユーザーにのみ適用することができます。ファイルの作成日/最終更新日が同じファイルに対して2つの保持ルールが競合する場合、Vaultは最初に作成されたルールを優先します。
競合を避けるためにルールをユニークにするには、「共有ドライブを含める」設定を使用します。保持条件が同一で、一方のルールに「共有ドライブを含める」機能が有効で、もう一方にはない場合、競合は発生しません。
複数の保持ルールがあるファイルの場合、最も長い保持期間を持つ保持ルールが適用されます。

3.4. Googleドライブにデータを保存するアプリの保持はどのように機能するのか

JamboardのジャムセッションやGoogle Meetの録画は、デフォルトでドライブの保持設定によって管理されます。Meetの録画をドライブの設定とは異なる方法で保持したい場合は、Google Meet録画専用の別の保持ルールを有効にすることで、ドライブの保持設定よりも優先されます。

サイトは、デフォルトでサイト保持のルールによって保持されています。サイトをGoogleドライブと同じ方法で保持したい場合は、サイト保持設定を変更してください。

3.5. Googleドライブのファイルを保護するためにeDiscoveryを使用する方法

Google Vaultは、Googleドライブに保存されたファイルをホールド、検索、取得するためのeDiscovery機能を搭載しています。管理者はVaultを使用して、法的な目的やその他の目的でユーザーのGoogleドライブデータを無期限にホールドすることができます。
Googleドライブのファイルをホールドするには、管理者は個々のアカウントまたは組織内のすべてのアカウントをホールドする必要があります。

ドライブデータをホールドする方法については、「Google Vaultの基礎知識」をご覧ください。

注意:ホールドは、組織のメンバーが作成したアイテムにのみ適用でき、外部ユーザーが作成および共有したアイテムには適用できません。

3.5.1. Googleドライブでホールドの対象になるデータ

ホールドの対象アイテムホールドの対象外アイテム
ユーザーが作成したアイテム
ドライブフォルダ
ユーザーと直接共有されたアイテム
ドライブのショートカット
ユーザーと直接共有されている共有ドライブ内のアイテム
外部ユーザーが所有・共有するアイテム

注意:共有ドライブは直接ホールドの対象にすることはできません。共有ドライブをホールドするには、そのメンバーをホールドにし、「共有ドライブを含める」を有効にする必要があります。

ホールドされていない共有ドライブのメンバーは、他のメンバーを介してホールド中の共有ドライブからファイルを削除することができ、そのアイテムはホールドの対象ではなくなります。

3.5.2. ホールド中のアイテムが削除された場合はどうなるのか

ホールド中のアイテムは、ユーザーまたはVaultが削除した後でも、ユーザーに表示されます。

3.5.3. ホールド中だった共有ドライブのアイテムが削除された場合はどうなるのか

共有ドライブが削除された場合でも、その共有ドライブのメンバーであるユーザーがホールドされている場合、その共有ドライブ内のアイテムは継続してホールドされます。
削除された共有ドライブのメンバーではないが、ホールドされているユーザーが共有ドライブ内のファイルアイテムにアクセスしていた場合、そのユーザーがホールドされ続けている限り、そのファイルのみがホールドの対象となります。

Googleドライブデータにホールドを適用する方法については、「Google Vaultの基礎知識」をご覧ください。

4. Google Vaultの保持とeDiscoveryホールドは理想的なデータバックアップソリューションなのか

結論を言うと、答えは「いいえ」です。Google Vaultの保持とeDiscoveryはデータバックアップソリューションの代わりにはなりません。Google Vaultの保持とホールド機能は、ビジネスデータが失われたり削除されたりするのを防ぐことはできますが、それはソリューションの一部に過ぎません。
Google Vaultは保持サービスであり、バックアップソリューションと混同するべきではありません。保持とバックアップの両方がデータを長期間または無期限に保護することであっても、両者にはいくつかの違いがあります。
大きな違いとして、保持ソリューションはデータを保持することのみを目的としているのに対し、バックアップソリューションはこのデータをアカウントに戻す簡単な方法を提供しています。
Google Vaultは、法的および訴訟目的で重要なビジネスデータを保存するためのソリューションであって、Googleドライブのデータのバックアップソリューションの代わりになるものではありません。

保持がバックアップソリューションではない理由については、「Google VaultのeDiscovery機能・保持ルールとSysCloudとの比較」をご覧ください。

SysCloudのようなサードパーティのクラウドバックアップソリューションは、データのバックアップと復旧の問題を解決するワンストップソリューションです。バックアップソリューションの詳細については、当社のウェブサイトをご覧ください。

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