データ保護センター/Google Workspace/Google Chatのデータ保持完全ガイド

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この記事では

  • Google WorkspaceにおけるデフォルトのChat保持
  • Google Vaultの保持ルールでChatメッセージを保護する方法
  • eDiscoveryを使用してChatメッセージを保護する方法
  • Google VaultがGoogle Chatの理想的なバックアップソリューションでない理由

Google Chatのデータ保持完全ガイド

7 Dec 2021
読了時間:7分
Google チャット(旧称 Google ハングアウト)は、Google Workspace 内のコラボレーション アプリケーションです。ダイレクトメッセージからグループ会話まで、Google チャットと Spaces(旧称:Google Chat Rooms または Rooms)は、どこからでも簡単かつ効果的にチームコラボレーションを支援します。ユーザーは Google チャットを通じて、ファイルのアップロード、Google ドライブ ファイルの共有、ビデオ会議の追加、カレンダー イベントのスケジュールを行うことができます。

Google WorkspaceにおけるデフォルトのChat保持

Google Chatにはごみ箱フォルダがありません。そのため、Chatでメッセージや会話を削除すると、完全に削除されてしまいます。
Google Workspaceの上位エディションでは、Google Vaultによるデータ保持機能が標準搭載されています。管理者は、Google Vaultを使用することで、ユーザーによって削除された後もメッセージを長期間保持することができます。

Google チャットのデータを保持する Google Vault
Google Vaultは以下のことができます:
  • 組織データを無期限または特定の期間保持する

  • 特定の期間後に組織データを自動的に削除する

  • 電子情報開示(eDiscovery)のために組織データを保持し、検索、エクスポートする

Google Vaultとは何か、Vaultの保持ルール、ホールド、ライセンス要件については、「Google Vaultの基本に関する詳細記事」をご覧ください。

Vaultを使用したChatメッセージ保持の種類

Google Workspaceの管理者は、Googleドライブのファイルに対して2種類の保持ルールを設定できます。
  • デフォルトの保持ルール

  • カスタム保持ルール

これらの保持ルールについての詳細は、こちらをご覧ください。

デフォルトの保持ルールは、組織内のすべてのダイレクトメッセージ、グループメッセージ、およびチャットスペースに適用されます。カスタム保持ルールは、異なるメッセージセットに適用することができます:
組織単位ベースの保持ルール「すべてのChatスペース」の保持ルール
クラシックハングアウトおよびChatのDM(ダイレクトメッセージ)
スレッドスペース(会話内のメッセージがあるスペース)
クラシックハングアウトのグループ会話
スレッドのないスペース(DMのように単一のスレッド内のメッセージがあるスペース)
2020年12月初旬以前に作成されたChatのグループチャット
2020年12月初旬以降に作成されたChatのグループチャット

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複数のカスタム保持ルールがメッセージに適用されている場合、最後に期限切れになるカスタムルールが有効になります。

保持ルールが対象となっているChatメッセージが削除された場合はどうなるのか

保持ルールが適用されたGoogle Chatのメッセージや会話は、一度適用されると完全に削除することはできません。保持期間はメッセージが送信された日から始まります。ユーザーがメッセージを編集、削除してたとしても、保持期間は変わりません。保持ルールの適用範囲内にあるメッセージをユーザーが削除した場合、そのメッセージはユーザーのアカウントからは削除されますが、特権管理者であればGoogle Vaultを使うことで利用可能です。

ユーザーまたは保持ルールによって会話やスペースから削除された後、Chatメッセージは、さらに30日間保持されます。削除プロセスは、30日目に開始され、削除されるメッセージの数に応じて削除完了までに数日要することがあります。
以下の図は、Google Chatのメッセージが削除された後にどうなるかを説明しています。

Googleチャットの保持
Chatの記録保持に関する追加情報:
  • ダイレクトメッセージ、グループメッセージ、およびスレッド化されていないスペースのチャット履歴を保持、ホールド、検索、エクスポートするには、チャットの履歴を有効にする必要があります。

  • Chatで、リンクで共有されたドライブ内のファイルは、Chatの保持ポリシーには含まれません。

  • Chatメッセージに直接添付されたファイルは、Chatの保持ポリシーに含まれます。

  • 外部ユーザーからのメッセージは、組織の保持ルールとホールドの対象となります。

  • 組織のユーザーが他の組織が所有するグループメッセージやスペースに参加している場合、それらのメッセージは、Vaultを使用したとしても、保持、ホールド、検索、エクスポートはできません。

  • 参加者が誰であるかによって保持期間が異なります。

    ダイレクトメッセージ(DM):同じ組織に属しているが、異なる保持ルールの対象となっている参加者の場合、一方の参加者はDMにアクセスできるかもしれませんが、もう一方はそれぞれの保持期間に応じてアクセスできない場合があります。

    外部ユーザーとのDM:参加者が異なる組織に属している場合、DMは各組織の保持ルールに従って保持されます。

    チャットスペース:Chatにデフォルトの保持ルールを設定するか、カスタム保持ルールを作成する場合、Vaultは履歴がオンになっているスペース内のメッセージのみを保持できます。

    チャットスペース内の外部ユーザー:参加者が異なる組織に属している場合、会話はスペース作成者の組織ルールに従って保持されます。組織のユーザーが他の組織が所有するスペースに参加している場合、それらのメッセージは、Vaultを使用したとしても、保持、ホールド、検索、エクスポートはできません。

Google Vaultの保持ルールでChatメッセージを保護する方法

Chatメッセージのカスタム保持ルールを作成する

  • Google Vault にログインします。

  • 保持 > カスタムルール > 作成 をクリックします。

  • 「Chat」を選択して、「次へ」をクリックします。

  • エンティティを選択する:
    組織部門内のアカウントが送受信したDMやグループ会話を保持するには、「組織部門」を選択します。組織部門フィールドをクリックし、開いたダイアログで組織部門をクリックします。または、組織内のすべてのスペースのメッセージを保持するには、「すべてのChatスペース」を選択します。このルールはダイレクトメッセージや一部のグループメッセージには適用されません。

  • メッセージの保持期間を選択します:
    このルールの対象となるメッセージを永続的にに保持するには、「期限なし」を選択します。一定期間経過後にメッセージを破棄するには、保持期間を選択し、1日〜36,500日までの範囲で日数を入力します。

  • 作成をクリックします。

  • 設定を確認します。

  • 設定を確認します。

注意:保持期間を設定すると、Vaultは保持ルールを作成する際に、保持期間を過ぎたファイルを直ちに削除します。適切に設定されていない場合、削除されるべきでないデータが削除されてしまう可能性があります。

Chatメッセージのデフォルトの保持ルールを作成する

  • Google Vaultにログインします。

  • 「保持」をクリックします。デフォルトルールのリストが表示されます。

  • Chatアイコンをクリックします。

  • メッセージの保持期間を選択します。

  • 保存をクリックします。

  • 設定を確認し、「承諾」をクリックしてルールを保存します。

eDiscoveryを使用してChatメッセージを保護する方法

eDiscovery(Google Vaultに搭載)は、Google Workspaceの管理者が法的要件やその他の目的を満たすために、Chatメッセージを無期限に保持するためのホールド(保留データ)を作成するこができます。管理者は、個々のアカウントまたは組織部門内のすべてのアカウントにホールドを適用することができます。

注意:ホールドは保持ルールよりも優先されます。

チャットの保持ルールとは異なり、ホールドは個々のアカウントまたは組織部門にのみ設定できます。チャットスペースのみにホールドを設定することはできません。Vaultは、ホールド対象のユーザーがグループチャットのメンバーであった場合、そのユーザーがメッセージを送信していなかったとしてもメッセージを保持します。ホールドされたすべてのユーザーがグループチャットから退出した場合、ホールド対象のすべてのユーザーがグループチャットから退出した場合、ホールド対象の最後のユーザーが退出する前に送信されたメッセージのみがホールドに含まれます。他の組織が所有するチャットスペースで送信されたメッセージにはホールドは適用されません。

ホールド中のChatメッセージが削除された場合、どうなるのか

ホールド中のChatメッセージが削除された場合、ユーザーはそのメッセージにアクセスすることはできませんが、Vaultユーザー(承認されたユーザーのみ)であれば、Vaultを使用してメッセージの検索、プレビュー、エクスポートができます。

Google Vaultのデータ保持とeDiscoveryホールドはバックアップソリューションとして適しているのか?

答えは「いいえ」です。Google Vaultのデータ保持とeDiscoveryホールドは、バックアップソリューションではありません。Google Vaultは、訴訟目的で重要なビジネスデータを保持することを目的としたデータ保持ソリューションのため、これをバックアップソリューションと混同すべきではありません。
データ保持ソリューションとバックアップソリューションの大きな違いは、データ保持ソリューションはデータの保持のみを目的としているのに対し、バックアップソリューションはこのデータをアカウントに簡単にリストアすることができる点です。

データ保持とバックアップの違いの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。Vaultとは異なり、SysCloudのようなサードパーティのバックアップソリューションは、自動バックアップ、ワンクリック・リストア、クロス ユーザーリストアなどの機能を搭載しており、リカバリ時間を短縮し、生産性への悪影響を最小限に抑えます。

Google VaultがGoogle Chatの理想的なバックアップソリューションでない理由

  • ユーザー削除:Google Workspaceアカウントからユーザーが削除されると、そのユーザーアカウントに関連付けされているすべてのチャットメッセージが削除されてしまいます。(ホールドされていたり保持ポリシーの対象であっても削除されます)

  • リストア機能がない:Google Vault(ホールドまたは保持ポリシー)によって保持されたChatメッセージは、エクスポートすることはできますが、直接アカウントにリストアすることはできません。

  • Googleの障害:予期しないGoogleの障害により、何時間にもわたりデータにアクセスできなくなることがあります。VaultもGoogleサービスの一つであるため、障害発生時には使用できなくなります。

  • ランサムウェア攻撃:アカウントがランサムウェアによってロックされた場合、Google Vaultに保持されているデータも影響を受けます。

SysCloudのようなサードパーティのクラウドバックアップソリューションは、データのバックアップとリストアの問題に対するワンストップソリューションです。

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