SysCloud、AWS上でのSaaSデータバックアップのコスト削減と大規模対応でのパフォーマンス向上を実現
ケーススタディ
Amazon
モンロー・ウッドベリー中央学区
GPHA
背景
※ 本記事はAmazon社で掲載されたAWSを採用した事例紹介となります。
SysCloudは、SaaS(Software-as-a-Service)アプリのデータ損失やセキュリティ脅威から保護するソリューションとして、世界中で500万人以上のユーザーに支持されています。SysCloudでは、バックアップサービスが、急速な成長や拡大に対応するためにもスケーラビリティ(拡張性)を持つ基盤を必要としていました。
SysCloudは、既にAmazon Web Services(AWS)を利用してクラウドバックアップサービスを運用していたため、さらなるパフォーマンスの向上を図るために、Amazon FSx for Lustreを採用しました。
FSx for Lustreは、大規模なデータ処理を行うためのコスト効率が高く、高性能でスケーラブルなストレージを提供するフルマネージドサービスです。このFSx for Lustreとその他のAWSストレージサービスを導入したことで、SysCloudは、顧客のオンボーディング時間を短縮し、バックアップ速度を大幅に改善することに成功しました。
AWSのストレージサービスを利用することで、当社のソリューションが顧客の求めるセキュリティおよびコンプライアンス要件を確実に満たしていることを証明できます。
SysCloud クラウド運用責任者 ヴィクラム・スリニヴァサン
拡張性の高いストレージ・ソリューションの発見
2013年に設立されたSysCloudは、32カ国のユーザーに向けてインテリジェントなクラウドバックアップソリューションを提供しています。(主な導入先としては、IT企業や教育機関です)
2014年にAWSへ移行する前までは、オンプレミスストレージシステム向けにバックアップソリューションを提供しておりました。
SysCloudのクラウド運用責任者であるヴィクラム・スリニヴァサンは、
「当時は、ユーザーがデータセンターに当社の旧製品をインストールし、自分たちでバックアップを実行していましたが、このプロセスではコードの保守が難しく、ユーザー自身が手動でアップデートを行う必要がありました。」と述べており、そこでSysCloudは、オンプレミス型からSaaS型のクラウドバックアップソリューションへ転換することを決定しました。
SysCloudのSaaSクラウドバックアップソリューションは、当初、Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)とAmazon EBS(Amazon Elastic Block Store)で構築されました。
Amazon EC2は、安全でリサイズ可能なコンピュートキャパシティを提供するウェブサービスであり、Amazon EBSはAmazon EC2向けに設計されたシンプルでスケーラブルかつ高性能なブロックストレージサービスです。
しかし、移行後にSysCloudは急速に成長し、データストレージの需要も急激に増加しました。すでにAWSに移行していたということもあり、SysCloudはこの増加するニーズに対応するための、より革新的なソリューションを見つけることができました。
2018年には、SysCloudはAWS上でより高スループットかつ低レイテンシーのソリューションを模索し、それがFSx for Lustreの採用につながりました。
SysCloudの最高執行責任者であるラガヴェンドラ・スィルシは、「FSx for Lustre上の当社のバックアップソリューションは、99.99%の可用性で稼働しています。このソリューションのおかげで、顧客に信頼性の高いクラウドバックアップサービスを提供できるようになりました。」と述べています。
FSx for LustreとAmazon S3を活用したバックアップのスケーリング
SysCloudはFSx for Lustreへの移行後、Amazon EC2の未使用キャパシティを活用できるAmazon EC2スポットインスタンスを利用し始めたことにより、事前にAmazon EC2リザーブドインスタンスを計画する必要がなくなり、必要に応じてFSx for Lustreの利用をスケールさせることができ、プロビジョニングコストを30%削減しました。
「私たちはオンデマンドでスケーリングすることで、多くの問題を解決しています。」「ユーザー数やデータ量を気にする必要がなく、プロセスを簡単にプロビジョニングすれば、バックアップがシームレスに実行されます」とヴィクラムは述べています。
FSx for Lustreを使用することで、SysCloudは容易にスケールし、新規顧客のデータを迅速にバックアップできるようになり、オンボーディング速度が300%も向上しました。
SysCloudは、業界トップクラスのスケーラビリティ、データ可用性、耐久性、セキュリティ、そしてパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスであるAmazon S3(Amazon Simple Storage Service)にペタバイト規模のデータを保存しています。
また、SysCloudは過去のデータを保存するために、データアーカイブや長期バックアップ用として、セキュアで耐久性が高く、低コストなAmazon S3のストレージクラスであるAmazon S3 Glacier(S3 Glacier)を利用しています。
このソリューションにより、SysCloudはリソースをさらに最適化し、ストレージコストを70%削減しています。
SysCloudの最高技術責任者であるバブ・チマタは、「Amazon S3とS3 Glacierを活用することで、当社のソリューションはシンプルかつシームレスになります。必要なときに必要なデータへアクセスできる柔軟性を手に入れました。」と述べています。
SysCloudは、FSx for Lustreを使用して一時的にデータを保存し、特定のビジネスルールに基づいてファイルをS3 Standard、S3 Standard-IA(S3 Standard-Infrequent Access)、S3 Glacierに移動しています。
これにより、SysCloudはファイルをより長期間安全に保持し、ユーザーがデータを迅速にオンデマンドで取得できるようになり、システムのパフォーマンスが向上しました。
SysCloudは、S3 Glacierからデータを取得する際に、データアクセス要件に応じて複数のS3 Glacierリトリーバルオプションを使用することで、数分から数時間にわたるさまざまなアクセスニーズに対応できます。
例えば、データを迅速に取得する必要がある場合には、数分以内にデータを利用できるExpeditedリトリーバルを使用します。大規模なデータ要求のコスト効率を高めるために、SysCloudは最も低コストのBulkリトリーバルを使用し、数時間以内に大量のデータを取得します。S3 Glacierとそのリトリーバルオプションを活用することで、SysCloudはデータ要求コストを最大15%の削減を実現しています。
「以前は、顧客からのファイルを受け取った後、すぐにAmazon S3にアップロードしていました。しかし、各ファイルに対して個別にリクエストを送信することでデータ要求コストが増加していました。FSx for Lustreに一時的にデータを保存することで、コストを節約できました。また、同じ種類のファイルを一時的にグループ化することで、バックアップや復旧の速度も向上しました。」とヴィクラムは述べています。
SysCloudは、AWS CloudTrailも利用しており、このサービスを通じて、AWSアカウントのガバナンス、コンプライアンス、運用監査、リスク監査を支援し、顧客の監査要件を満たしています。ヴィクラムは、「AWSのストレージサービスを使用することで、当社のソリューションが顧客から求められるセキュリティおよびコンプライアンス要件に適合していることを証明できます」と述べています。
新たなグローバル市場への展開
SysCloudは、FSx for LustreとAmazon S3を活用して顧客向けにSaaS型のクラウドバックアップソリューションを提供することで、コストを削減し、スケーラブルかつセキュアで柔軟なデータ処理能力を向上させました。
今後、SysCloudは新たなグローバル市場へ展開し、顧客のAWSアカウント向けに新しいデータバックアップソリューションを導入する計画です。
「今後の成長に伴い、新しい機能の追加や新たなリージョンでの展開を楽しみにしています。AWSはこれからも私たちの基盤であり続けるでしょう。」とバブは述べています。
導入効果
- プロビジョニングコストを30%削減
- 顧客のオンボーディング速度を300%向上
- データ転送時に自動で暗号化
- 99.99%の可用性で稼働
- ストレージコストを70%削減
- データ要求コストを最大15%削減
本導入事例のオリジナルは「AWS導入事例(SysCloud)」をご覧ください。